労災保険の適用が除外される事業とは
労災保険は、基本的には労働者を使用している事業であれば労働者が一人であっても加入が義務付けられています。ただし、一定の条件に当てはまる場合は労災保険の適用除外事業として、労災保険への加入義務が発生しません。
国が直接行う直営事業で、国有林野・印刷・造幣の3つの事業に関しては、労災保険とは別の国家公務員(地方公務員)災害補償法等の適用を受けることになるため、2重保証を防ぐ目的で労災保険への加入はできません。
前述した3つの事業、いわゆる3現業以外にも官公署の事業に関しても労災保険の加入は認められていません。具体的には役所勤務などの国や地方公共団体の事務を行う事業がこれに当てはまります。
ただし、地方公務員として現業部門に勤務する非常勤の労働者に関しては労災保険が適用されることになり、加入義務が発生しますます。
災害が発生する可能性が低いとされる事業でかつ小規模と認められる場合、労災保険への加入は義務ではなく任意になります。ただし、労働者の過半数が労災保険への加入を希望している場合は、事業者が労働者全員を労災保険に任意加入挿せる必要があります。
対象となる事業は、常時労働者が5人未満の農業、年間使用延べ労働者の数が三百人人未満で常時労働車を使用していない個人経営の林業、常時労働者数が五人未満で個人経営かつ総トン数五トン未満の漁船で行われる水産業です。
ただし、一定の危険や有害な作業を伴う業務を遂行している場合や、災害発生の危険性がある流域や海域で操業している場合は労災保険への加入が義務付けられます。また、事業主が労災保険に特別加入している場合も、従業員を労災保険に加入させる義務が発生します。事業主だけが労災保険に加入して事業を行うことは、従業員の危険に対する備えが無い状態での労働に当たるため認められません。